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借金があっても合格できる?!カードローンの利用は公務員試験に影響しますか?

カードローン・キャッシングを利用したことのある大学生の方は多いと思います。20歳以上でアルバイトなどの収入があれば、学生でもカードローンを申し込むことができます。また、学生専用のクレジットカードならば収入には関係なく利用できますし、学生ならではの特典もいろいろあって便利ですよね。

しかし、キャッシングとはいえ、借金は借金。「もしかして就職のときに不利になるんじゃないか」「選考のときに個人情報とか調べられて、借金があるなんてバレたら採用してもらえないんじゃないかなあ…」「職場のお金を横領されるかもしれないと思われて落とされちゃうかも…」などと不安になる方も多いのでは?

特に公務員は信用が大切。これから公務員試験を受けようとしている場合はとても気になりますよね。

はたしてカードローンの利用は公務員試験に影響するのでしょうか?

原則、公務員試験への影響はなし

結論から言ってしまうと…

カードローンの利用歴が公務員試験に影響することはありません。

なぜなら、金融機関からの借入れなどの取引情報は信用情報機関に記録されており、本人の同意なしにその記録を見ることはできないからです。

仮に、何らかの手段で信用情報を入手したとしても、試験や就職の選考をする際、その情報を使用するのは禁止されています。

個人情報は信用情報機関で守られる

カードローンやキャッシングといった金融取引を行うと、その情報は「信用情報機関」に登録されます。

日本には3つの信用情報機関があり、ほとんどのカードローン会社が何らかの信用情報機関に加盟しています。

信用情報機関
個人のクレジットカードやキャッシングの利用状況、借入れ状況、返済や支払い能力などといった金融取引に関わる情報の収集と管理をする機関です。

貸金業法によると、カードローン会社は新規に借入れの申し込みがあった場合、個人信用情報機関に照会して、その人の借入れ情報や返済履歴をチェックすることになっています。

つまり、その人にだいたいどれくらいの返済能力があるか前もって確認する。確認することにより、無理な貸付けや借入れを防ぐことができるというわけです。

ところで、自分の信用情報ってどんなふうに登録されているんだろう…!?

気になりますよね。

自分の信用情報を確認したいときは「情報開示請求」という手続きをすれば見ることができます。

情報開示請求
申込みにより、信用情報機関に加盟しているカードローン会社との契約内容や、借入れ・支払い状況などの信用情報を確認できる制度。インターネットでも請求することができます。

自分自身の信用情報ならいつでも開示できます。

しかし、これは非常にデリケートな個人情報ですので、もちろん誰でも開示請求できるわけではありません。家族の情報でも、本人以外の人が開示請求する場合には、法定代理人か本人の委任状が必要になります。

たとえ家族であっても自由に見られるわけではないのですね。

じゃあ、信用情報機関に加盟しているカードローン会社なら自由に見られるの?

NOです。

カードローン会社が信用情報を開示できるのは、顧客の返済や支払能力の調査をする場合だけと定められています。それ以外の目的では開示できません。(例外として、犯罪や事故の調査のため警察などから照会請求があった場合は開示できる)

また、加盟しているカードローン会社に対しては、割賦販売法や貸金業法で「信用情報機関から取得した信用情報は借入れ状況や返済能力を調査する以外の目的に使用したり、第三者に提供したりしてはならない」と定めており、違反した場合は、情報の利用停止や除名などの罰則の対象になります。

つまり加盟会社でも、情報を入手できるのは、あくまでも金融取引において返済能力があるかどうかの審査のためだけです。

誰もがむやみに閲覧できるわけではないんですね。

【こちらの記事も参考にどうぞ!】
カードローン履歴が全部ばれる!?信用情報の審査への影響とは

カードローンの利用は選考理由にはならない

よく就活シーズンになると「あそこは新入社員の身辺調査をしてるんだって~」「借金があると落とされるらしいよ」などといった都市伝説が流れます。

信用しないほうがいいですね。

ここまで述べてきたように、カードローンの利用歴はそう簡単に外部に漏れるものではありませんから。

それに、基本的に「企業は応募者の適性と能力のみを基準にして選考しなければならない」と法律で定められています。

面接や試験で「あなた借金ありますか?」なんて聞くようなところはめったにないでしょう。まあ、やろうと思えば裏で調べることもできますが…応募者一人一人の信用情報をいちいち調べるのは膨大な費用と時間がかかりますし、法律違反というリスクを考えると難しいですね。

つまり採用は、あくまでも本人の能力や業務を基準にして選考しなければならない。プライベートで借金があろうとなかろうと、業務に関係なければいいよって感じですかね。

カードローンがあるのがばれたとしても、それだけで採用しないということはありえないわけです。

ブラックな情報はやっぱり不利に

原則として信用情報は公務員試験の選考基準にされない。だってカードローンがあるからといって公務員としての適性がないなんて言いきれないわけですから。

もちろんそれは正論。でも採用する側としては、あちこちから借金しているような人間を雇いたくないというのが本音でしょう。当然ですよね。

簡単にはバレないといっても、知られてしまう可能性はゼロではありません。

公開される情報もある!?

信用情報が簡単に開示されないことは前にもお話しましたね。

しかし、情報によっては公開されてしまうものもあります。その一つが自己破産。

自己破産をすると「官報」に氏名や住所などが掲載されてしまいます。

官報
国が発行している機関紙。法令の制定や改正などの情報、国家試験の合格者、相続や破産などの裁判内容の情報といった、国に関するいろいろな情報が掲載されているものです。一般的な新聞と同じように、毎日発行されています。

官報は誰でも見ることができます。インターネットや一部の図書館でも閲覧できますし、書店で購入することもできます。

とはいえ、一般の人が官報を目にすることはほとんどないでしょう。わざわざ読むようなものでもないですし、住所と名前が掲載されているといっても他にも膨大な数の人が載っていますから、探すのは大変。

官報に載ったからといって、近所の人や知り合いにバレてしまう可能性はまずありません。

では、どんな人が官報を読むのかというと、ズバリお金に関わる仕事をしている人たちです。たとえば金融会社や保険会社。

そして税務署や市町村役場の税務課、国民健康保険課。

税金や保険料の滞納者が自己破産すると、税担当者は催告したり、場合によっては差し押さえなど、いろいろな手続きをとる必要があります。そのため、こういう人たちは官報によく目を通しているようです。

つまり、お役所では官報がチェックされる可能性が高いといえます。

公務員になりたい人は注意したほうがよいでしょう。

資格・職業が制限される

自己破産すると、一定期間「資格制限」があります。

資格制限とは
自己破産開始決定から免責許可を受けるか復権を得るまでの間、ある一定の職業に就くことができないという決まり。すでにその職業に就いている場合は復権までの間、業務停止となります。

資格停止となる職業は下記の通り。

公務員 公証人、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、公正取引委員会の委員長や委員
士業 弁護士、司法書士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士など
その他の業種 貸金業、質屋、警備員、不動産鑑定業、建設業、風俗営業、一般・産業廃棄物処理業、通関業、鉄道事業、卸売業、宅地建物取引業、騎手
職業以外の資格 民法上の代理人や後見人、後見監督人、保佐人、補助人、遺言執行者など

かなり多岐にわたっていますよね。
特に信用が大切な職種や、職権を利用してお金儲けができそうな職種は、まず間違いなく資格制限がかかると思ってよいでしょう。

ただ資格制限は一生続くものではなく、免責が認められれば復権します。

免責と復権
免責は、自己破産の申し立てをして裁判所に認められれば、借金がゼロになる制度のことです。免責許可が出れば、それ以降は返済を免除されます。

復権とは、法律上の扱いが「破産者」ではなくなること。自己破産手続中は法律上「破産者」という扱いになり、その間は資格制限を受けます。しかし免責が認められて復権すると「破産者」ではなくなるため、資格制限も解除されます。

通常は自己破産の申し立てから3~6ヶ月で復権できることが多いようです。しかし自己破産の理由が浪費やギャンブルであったり、破産手続きの時に嘘をつく、帳簿を偽造するといった不正行為があった場合には免責許可が下りないこともあります。

こうなると、借金をすべて返済しない限りは破産者のまま。資格制限は最長で10年間続き、その間は資格制限を受けることになります。

また、自己破産しても滞納している保険料や税金、損害賠償金や慰謝料などは免除にはなりません。

いくらバレにくいとはいっても…バレたら確実にマイナス評価を受けるような借入れ方をするのは考えものですね。

問題はカードローンそのものではなく、使い方

いかがでしたか?

お金を借りることやカードローンの利用そのものが悪いというわけではないのです。

ですから原則として、公務員試験への影響はありません。

借入れの目的が明確で、きちんと計画的に返済しているのであれば、たとえ借金の存在が知られてしまったとしても何も問題はないでしょう。

たとえば奨学金。使う目的がはっきりしており自助努力につながるものであれば、同じ借金でも、かえってプラス評価につながるかもしれませんね。

一方で、ただ遊ぶためにカードローンで借りまくり、しかも返済すらまともにしていないということであれば、決してプラスにはなりません。

選考理由には関係ないとはいっても、そのあたりは注意したほうがよさそうです。

たとえば公務員試験に受かっても…

破産法では「破産者は裁判所の許可を得なければその居住地を離れることができない」と定めています。逃亡を防いだり、居場所がわからなくなって裁判所や債権者への説明義務を果たせなくなったりすることを防止するためです。

転勤はもちろん、裁判所によっては2泊以上の長期の旅行や出張に行くときにも、事前に連絡しなければならないこともあります。

出張の多い部署では確実に影響が出ますし、職場にも借金のことが知られてしまうでしょう。

せっかく努力して公務員になれたのに、これではお先真っ暗ですよね。

カードローンを利用するときは目的と計画性が重要。借入れは返せる範囲で。きちんと返済することが大切です。

【参考記事】
利用前にきちんと考えてほしい…カードローンのメリットとリスクとは

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